愛は惜しみなく与う②
「あの、話していいですか?ていうか聞いてください。泉はもしかしたら、帰ってこれないかもって私は思ってます」
少し大きな声で新は言った
帰ってこれないかも?どういうこと?
「心配しすぎじゃない?泉3日で戻るって言ったんでしょ?」
「そうだよ…信じて待とうよ…」
慧も響もそういうが、少し心配そうに話す
3日で…ね
あたしが寝てる間に出て行きよったな
「私は…泉の家…蕪木(カブラキ)組にお世話になっています」
新が言う蕪木組とは、泉の家のことだろう
っていうかなんで蕪木?
「泉の苗字、蕪木って言うんだよ?」
慧がこっそり教えてくれた。
なるほど。あたしみんなの苗字知らんだけか。
って…蕪木組ねぇ…
なんか聞いたことある気がするんやけど
「数年前から、泉の父親は、表に出ることはなくなりましたが、若い組員を使って、薬や犯罪ギリギリのことを裏で手引きするようになりました」
……泉の父親なら、まだそんな歳いってへんはずやのに、表から姿を消して、裏に回るにしては早いなぁ…