今夜、桜の木の下
葬式が終わって夜遅い時間になった頃
私はもうベットで眠ろうとしていた
この日は家がバタバタしていて寝るのが遅くなった、布団に包まれてウトウトしていた時




ガシャンっ






何かが割れる大きな音がした





私は眠い目を擦りながら、ベットから降りて
1回のリビングに小さな手で手すりに
つかまりながら降りた





「……せい…しょ!?」





下に近づくにつれてママの大きな声が聞こえた



「私のせいでしょ!?」


ママが取り乱してるのがすぐに分かった


リビングにはママ方のじいちゃんばあちゃんが居て


私は階段の手すりの隙間から、光が漏れるリビングの中を階段に座ってこっそり見つめた






「あんたは何も悪くない、責めても仕方ないでしょ!?」





ばあちゃんが大きな声で話してる





「誰か優吾に会わせて!!…会わせてよ…」






ママがパパの名前を呼びながら大声で泣いている





「どうしてっ…どうして!?私が行けば優吾の気持ちが生きたいって気持ちが変わってたの!?」





「私のせいじゃない!全部私が悪い!電話にも気づいてたのに…た、大したことじゃないって…
なんでっ…なんで出なかったのよぉぉ」






ママはテーブルに上がっていた料理を片っ端から床に叩きつけていた、それをばあちゃんとじいちゃんが泣きながら止めようとしていた





「千夜ちゃんが起きちゃうでしょ!?
もう少し静かにしなさ…」





ばあちゃんはママを抱きしめて必死に止めようとする





「……ふっ…いいじゃない」


急に笑うママを見て私は背筋が凍った


いつものママじゃなかった





「千夜は死に目に会えたのよ!?
私だけ……おかしいわよ!なんでなのよ!?」






今なら分かる、もし自分が同じ立場なら
どうして娘だけ死に目に会えるのって
責めていたかもしれない、娘に傷をつけないようにずっと気を使って誰にも言えない思いを殺し続けたかもしれない




でも私はその時まだ5歳だった




そんな言葉理解もできず、言葉の意味も何も理解出来ず…


だって普通に考えて私は悪くない
でも普通に考えるなんて言葉
小さな私にある訳がなかった
感情が荒ぶっている時
なにか大声で責められていたら
責められてる事実しか受け取れない





ただ千夜が悪いと、私のせいだと
こんな恐ろしい顔をさせてしまった私が悪い
ママを傷つけたのは私だと、その言葉だけが私の心に大きな傷をつけた




私は静かに泣いた、何も出来ない幼い私は
静かに独りで泣いた





「私のせいで優吾は死んだのよ……」






自分のせいで死んだと何度も繰り返すママのその言葉が私を責めているように感じた
千夜のせいで死んだと言われているんだと思った
ママが自分を責めれば責めるほど
私は辛くなった
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