今夜、桜の木の下
どのくらい時間が経ったんだろうか
少し辺りが暗くなってきた頃、家の前に着いた
着いた瞬間私の方に振り返って
しゃがんで私の肩を強く掴んでこう言った





「ねえ、ママを困らせたい?私なにか難しい事言った?本当にやめて。……これ以上ママを不安にさせないで!?」




鬼みたいな顔だった
本当にそう説明することしか出来ない
ママが怖かった、私の目を見て大声を出すママが
ただ怖かった




まるでパパの葬式の夜の時のママだった




「…っ……」



私は目にいっぱいの涙を浮かべたけど
泣くことは許されなかった


小声でママが言った

「……泣きたいのはママの方よ…」





「……ご、ごめんなさい」


私は唇を噛み締めて泣くのを必死にこらえた



ママは大きなため息をついて家に入っていった
私は溢れそうな涙を拭いてママを追いかけた



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