青の秘密を忘れない
第4章 青に秘める思い
私のデスクには、いろいろな社員からもらった送別の品で溢れ返っていた。
「どうやって持って帰ろう」
とりあえず一つの紙袋にまとめてみたが、重すぎて途方に暮れた。
正臣に言われた、
「今日は出張だから迎えに行けなくてごめん。最終日に労えなくてごめん」
という言葉を思い出す。
仕方ない、頑張って持って帰ろう。
全ての人に挨拶を終え、私は帰り支度を済ませた。
もう他の社員の姿はない。青井君の姿も。
最後はお疲れ様でした、と笑って帰っていった。
青井君………。
あれから毎日青井君はいつも通り明るかったが、業務的な話しかできなかった。
おそらく私に気を遣っていた。
私は、青井君のデスクにそっと触れる。
そして、青井君の椅子に腰かけてオフィスを見渡す。
この一年間、ずっと一緒に働いてきた。
彼はすごく成長したし、もう私がいなくても大丈夫。
親鳥に対するような好意だと思う。
彼はまだ二十四歳だ。若い。
きっと私のことなんてすぐに忘れてしまう。
でも、それでいい。
そう思った瞬間に、涙がこぼれて止まらなかった。
それでも、本当に好きだった。
「篠宮さん……?」
その声に振り向くと、青井君が困惑した表情で立っていた。
私は慌てて立ち上がって、涙を見られないように自席の方を向いた。
「青井君、帰ったんじゃなかったの?忘れ物でもした?」
涙声にならないように笑って話すけど、涙は止まらない。
「これは、なんだかんだ仕事辞めるの寂しくて、その……」
「僕、篠宮さんにやっぱり送別の品を渡したくて」
そう言って、彼は手のひらサイズの箱を私のデスクに置いた。
私は促されるままに、それを持ち上げてラッピングをといていく。
「篠宮さんに似合うと思って買ったんですけど、気持ち悪がられたらやだなと思って渡せなくて」
そこに入っていたのは、ブルーサファイアがついたかわいいネックレスだった。
「でもやっぱり渡したくて来たんです」
そう言って、青井君は私の顔を覗き込んだ。
その目は優しく微笑んでいる。
青井君はさっき私が彼の席に座っているのを見ていたはずだ。
「喜んでくれました、よね?」
私は何度も頷いて、彼の方を向いた。
彼がそのネックレスを手に取り、つけてくれる。
ガラスに映して確認すると、本当に自分に似合っている気がした。
「すごい似合ってます」
「キレイな青が、似合うと思いました」
……もう、自分の気持ちをごまかすことはできない。
「私、」
そう口にした瞬間、警備員の「早く出て」という声が聞こえた。
私たちは慌てて荷物をまとめて会社を出た。
「どうやって持って帰ろう」
とりあえず一つの紙袋にまとめてみたが、重すぎて途方に暮れた。
正臣に言われた、
「今日は出張だから迎えに行けなくてごめん。最終日に労えなくてごめん」
という言葉を思い出す。
仕方ない、頑張って持って帰ろう。
全ての人に挨拶を終え、私は帰り支度を済ませた。
もう他の社員の姿はない。青井君の姿も。
最後はお疲れ様でした、と笑って帰っていった。
青井君………。
あれから毎日青井君はいつも通り明るかったが、業務的な話しかできなかった。
おそらく私に気を遣っていた。
私は、青井君のデスクにそっと触れる。
そして、青井君の椅子に腰かけてオフィスを見渡す。
この一年間、ずっと一緒に働いてきた。
彼はすごく成長したし、もう私がいなくても大丈夫。
親鳥に対するような好意だと思う。
彼はまだ二十四歳だ。若い。
きっと私のことなんてすぐに忘れてしまう。
でも、それでいい。
そう思った瞬間に、涙がこぼれて止まらなかった。
それでも、本当に好きだった。
「篠宮さん……?」
その声に振り向くと、青井君が困惑した表情で立っていた。
私は慌てて立ち上がって、涙を見られないように自席の方を向いた。
「青井君、帰ったんじゃなかったの?忘れ物でもした?」
涙声にならないように笑って話すけど、涙は止まらない。
「これは、なんだかんだ仕事辞めるの寂しくて、その……」
「僕、篠宮さんにやっぱり送別の品を渡したくて」
そう言って、彼は手のひらサイズの箱を私のデスクに置いた。
私は促されるままに、それを持ち上げてラッピングをといていく。
「篠宮さんに似合うと思って買ったんですけど、気持ち悪がられたらやだなと思って渡せなくて」
そこに入っていたのは、ブルーサファイアがついたかわいいネックレスだった。
「でもやっぱり渡したくて来たんです」
そう言って、青井君は私の顔を覗き込んだ。
その目は優しく微笑んでいる。
青井君はさっき私が彼の席に座っているのを見ていたはずだ。
「喜んでくれました、よね?」
私は何度も頷いて、彼の方を向いた。
彼がそのネックレスを手に取り、つけてくれる。
ガラスに映して確認すると、本当に自分に似合っている気がした。
「すごい似合ってます」
「キレイな青が、似合うと思いました」
……もう、自分の気持ちをごまかすことはできない。
「私、」
そう口にした瞬間、警備員の「早く出て」という声が聞こえた。
私たちは慌てて荷物をまとめて会社を出た。