青の秘密を忘れない
始発の時間が来て、私たちは漫画喫茶を後にした。
外はもうだいぶ明るくなっていて、お互いに少し恥ずかしそうに笑って手をつないだ。
このまま、ずっと一緒にいられればいいのに。
「明日からゴールデンウィークですね」
「うん」
「篠宮さん、いつ引っ越すんですか」
「ゴールデンウィーク最終日かな」
「……それまでに会える日ない、かな」
最後の青井君の言葉はちょっと小さくて不安げだった。
……そうか、青井君は私の予定に合わせるほかないのか。
それを思うと、胸の奥が締めつけられた。
「引っ越し作業は進んでるから、もしかしたら空けられるかも」
「ほんとに?」
「確認してみるね」
青井君はくしゃっと笑って、私の手をぎゅっと握った。
駅のホームで私たちは反対方向の電車に乗る。
青井君は、見送りますと言ってこちら側に来てくれた。
始発前のホームには人はまばらにしかいない。
「篠宮さん、そのブルーサファイアのネックレス大事にしてください。
誰にも話せないしこれから気軽に会えなくなる。お互い苦しいことが多いかも知れない。
それでも、僕は篠宮さんのこと大好きだって忘れないでください」
「私は、何も青井君にあげられてない……」
青井君は笑って、首を横に振った。
そしてジャケットの内側から、一本の青いペンを取り出した。
「あっ」
「僕はこの青いペンを、篠宮さんの気持ちだと思っていいですか」
私は、強く頷いた。
電車が滑り込んできて、そっと手を離す。
もう既に寂しさがこみ上げてくる。
それは青井君も同じだと、表情から分かる。
青井君の手のひらが、私の背中にぽんと優しく触れた。
「またね」
「はい、気をつけて」
ドアが閉まって電車が走り出す。
お互い見えなくなるまで、手を振り合った。
電車が地下に潜っていくと、その窓に自分の姿が映る。
その胸元には、ブルーサファイアが輝いていた。
お互いの「青」に思いを秘めて、私たちはどこに向かうのだろう。
外はもうだいぶ明るくなっていて、お互いに少し恥ずかしそうに笑って手をつないだ。
このまま、ずっと一緒にいられればいいのに。
「明日からゴールデンウィークですね」
「うん」
「篠宮さん、いつ引っ越すんですか」
「ゴールデンウィーク最終日かな」
「……それまでに会える日ない、かな」
最後の青井君の言葉はちょっと小さくて不安げだった。
……そうか、青井君は私の予定に合わせるほかないのか。
それを思うと、胸の奥が締めつけられた。
「引っ越し作業は進んでるから、もしかしたら空けられるかも」
「ほんとに?」
「確認してみるね」
青井君はくしゃっと笑って、私の手をぎゅっと握った。
駅のホームで私たちは反対方向の電車に乗る。
青井君は、見送りますと言ってこちら側に来てくれた。
始発前のホームには人はまばらにしかいない。
「篠宮さん、そのブルーサファイアのネックレス大事にしてください。
誰にも話せないしこれから気軽に会えなくなる。お互い苦しいことが多いかも知れない。
それでも、僕は篠宮さんのこと大好きだって忘れないでください」
「私は、何も青井君にあげられてない……」
青井君は笑って、首を横に振った。
そしてジャケットの内側から、一本の青いペンを取り出した。
「あっ」
「僕はこの青いペンを、篠宮さんの気持ちだと思っていいですか」
私は、強く頷いた。
電車が滑り込んできて、そっと手を離す。
もう既に寂しさがこみ上げてくる。
それは青井君も同じだと、表情から分かる。
青井君の手のひらが、私の背中にぽんと優しく触れた。
「またね」
「はい、気をつけて」
ドアが閉まって電車が走り出す。
お互い見えなくなるまで、手を振り合った。
電車が地下に潜っていくと、その窓に自分の姿が映る。
その胸元には、ブルーサファイアが輝いていた。
お互いの「青」に思いを秘めて、私たちはどこに向かうのだろう。