青の秘密を忘れない
第8章 加速する思い
久々に見慣れた土地に降り立ったのは、青井君と会った一週間後のことだった。

青井君とは土曜日の夜に会うことになった。

既に友達と約束していたらしいが、夜までには解散するはずなのでと言われた。
『本当に大丈夫?』と聞いたが、すぐに『僕も会いたいので』と返ってきた。
私はゆりえにお茶しない?と送り、正臣にゆりえと遊んでくると告げた。

嘘は真実の中に隠すとばれにくいと何かのコラムで読んだことがあった。

こんな感じで会う機会がたくさんあるといいけど、と心から思う。


誤算だったのは、友達の家に向かう正臣とたまたま会ってしまったことだ。

「正臣君、久しぶり」
「お久しぶりです」

ゆりえと正臣は久しぶりに会ったこともあり、他愛のない会話を続ける。
ゆりえに口裏を合わせてもらう時間もなく、ただ会話の行方を見守るかたちになる。
ドキドキしていることを悟られないようになるべく自然に会話に参加する。

「あ、そろそろ行かないと」
時計を見て正臣は慌てて、ゆりえに一礼する。

「今日は夜遅くなっても、なんならオールでもいいですよ。
じゃあ、また四人でご飯行きましょう!」

そして、正臣はゆりえの返答を待たずに駅に走って行った。
ゆりえは不思議そうに私の方を向く。

「あれ?今日、夜は用事あるんだよね?」

何と答えるか悩んでいると、ゆりえが真剣な顔で私を見つめる。


「何かあった?」
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