青の秘密を忘れない
交換したばかりの青いお守りが財布についている。
それだけ心強かった。

二十四歳は若い。
心変わりするかも知れない。
青井君の気持ちが強くなる程にそんなことを考えては、一緒に過ごして積み重ねた時間を信じようと思った。

毎日、朝晩と連絡をした。
夫の帰りが遅い日はできるだけ長く電話した。
次会ったらどこ行こうかなんて話もした。

そうやって、私たちは会えない時間を共有していた。


一ヶ月後に従姉の結婚式で帰省することになっていた。
思いきって正臣に私だけ長めに帰りたいと言ってみる。
結婚式が土曜日。
青井君に日曜日会えるかもと話したら、月曜日有給取れれば長い時間いられるかなと言われたからだ。

「いいよ、実家帰るんでしょ?」

「友達と会いたくて。実家は遠いからホテルに泊まろうかと思って」

「へー。いいんじゃない?」

その目には全く疑いの色はない。
正臣は家族に愛されて友達に恵まれてきた、と自負しているくらい性善説で生きてきたらしい。
私はそんなところをいいなと思っていた。
応えていた、はずだった。
今はそれが重い足枷になっていることを思わずにはいられなかった。

でも、だからこそ青井君に会える。

私は自分の心が汚れていくのを感じながら、何食わぬ顔で正臣に笑ってお礼を言った。

青井君が「泊まれるなら少し遠出しませんか?」と言うから、「どこに行こうか」と答えた。
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