青の秘密を忘れない
第9章 初めての旅行
「おめでとう!」
「青子、ありがとう」

従姉が満面の笑みで近づいてくる。
純白のドレスを着ている従姉は、今日本中で一番美しいはずだと思って、涙がこぼれそうになった。

「青子の結婚式思い出すなぁ、私も泣いちゃったもの」

私が曖昧に笑うと、照れていると捉えたようだった。
正臣は義理の父と談笑していて、こちらには気づかない。

「素敵な旦那さんと出会えてよかったね。
私もそうなりたいな」

「……きっと、私より幸せになれるよ」

結婚は、自分たちだけの問題じゃない。
こうやって繋がっているものが多ければ多い程、私は一生身動きが取れないような気がした。

何もかも忘れてしまって、
結婚式の日に戻れたら幸せなのに。

いや、幸せなのか?
私は全てを忘れて正臣に愛を、永遠を、誓いたいのか?

素敵な結婚式だというのに、私の心は最も遠いところにいるようだった。

青井君と結婚できたら、どんなに幸せだろう。
そんなことを考えてしまう自分がいた。
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