青の秘密を忘れない
三十分くらいで駅に戻って来たが、彼は改札前まで言葉を発しなかった。
私の携帯電話が震え、『そろそろ着く?』と親からのメッセージが目に入る。
「ごめん、そろそろ行かなきゃ」
「僕、今日で篠宮さんのこともっと好きになりました」
その言葉と反して、青井君の表情は曇っていた。
「どうしたの?」
「それ以上に親御さんは篠宮さんを愛して育ててきて、旦那さんに託したんだろうなと思って」
青井君は、自分を責めているような言い方をする。
思わず抱きしめたくなる気持ちを抑えて、青いお守りを青井君に差し出す。
「青井君は悪くない。私が選んだの。青井君といることを選んだの。
だから、青井君がそんな風に落ち込む必要はないよ」
そう言ったけれど、青井君は納得していない表情のまま、
差しだしたお守りを受取り、自分のお守りを私の手に握らせた。
そして、「ありがとうございます」と小さく笑って改札の中へ消えていった。
確かに、今までの人生の積み重ねを壊してしまうかも知れない。
家族への罪悪感は、もちろんある。
でもね。
それでも、私は青井君といたいと思ったよ。
「おかえりなさい。あら、その帽子の色きれいね。どこで買ったの?」
「今日ゆりえと買い物した時に買ったんだ。いいでしょ」
その証拠に、私はちゃんと親の目を見て嘘をつくことができる親不孝者だ。
きっとどこに向かうとしても、死んだら地獄行きかも知れない。
そんなことを考えながら、さっき青井君と見た実家に何食わぬ顔で入った。
私の携帯電話が震え、『そろそろ着く?』と親からのメッセージが目に入る。
「ごめん、そろそろ行かなきゃ」
「僕、今日で篠宮さんのこともっと好きになりました」
その言葉と反して、青井君の表情は曇っていた。
「どうしたの?」
「それ以上に親御さんは篠宮さんを愛して育ててきて、旦那さんに託したんだろうなと思って」
青井君は、自分を責めているような言い方をする。
思わず抱きしめたくなる気持ちを抑えて、青いお守りを青井君に差し出す。
「青井君は悪くない。私が選んだの。青井君といることを選んだの。
だから、青井君がそんな風に落ち込む必要はないよ」
そう言ったけれど、青井君は納得していない表情のまま、
差しだしたお守りを受取り、自分のお守りを私の手に握らせた。
そして、「ありがとうございます」と小さく笑って改札の中へ消えていった。
確かに、今までの人生の積み重ねを壊してしまうかも知れない。
家族への罪悪感は、もちろんある。
でもね。
それでも、私は青井君といたいと思ったよ。
「おかえりなさい。あら、その帽子の色きれいね。どこで買ったの?」
「今日ゆりえと買い物した時に買ったんだ。いいでしょ」
その証拠に、私はちゃんと親の目を見て嘘をつくことができる親不孝者だ。
きっとどこに向かうとしても、死んだら地獄行きかも知れない。
そんなことを考えながら、さっき青井君と見た実家に何食わぬ顔で入った。