青の秘密を忘れない
「僕、あの人嫌いです」
そう言われたのは、ずっとずっと前。
私たちが先輩後輩だった頃の話。
「どうした?何かあったの?」
不服そうな顔をした青井君が、隣に座り込んで私を見上げる。
そして、ないしょ話をするように顔を近づけてくる。
「あの人、自分が説明下手すぎるのに、理不尽にキレるんですよね」
いろいろ聞き出してみると、いつもやる気がない先輩社員に教わったら、巻き添えでミスをして理不尽に怒られたらしい。
よく指導係にそんな明け透けと話してくるなぁ。
私は内心驚きながらも、心許してくれてるのかと笑って諭す。
「あー、確かにそれはないね。嫌な思いしたね。
まー、青井君はそこ怪しいと思ったのに確認しなかったのは良くないかなぁ?
自分の身は自分で守らないとね」
そうからかうように軽く指摘すると、青井君が私の顔を見上げる。
「あー、そうか。確かにそうですよね。すみません」
ハッとした顔で素直に謝る青井君が可愛いなと思った。
だが、「まぁ、でももうあの人は嫌いです」と青井君が急に真顔で言うから、私はドキッとする。
「一回悪いイメージつくとなかなか戻らないですね。
どんなに最初にいい人と思っても、マイナスイメージついちゃうと難しいです」
誰しもがそうだとは思いつつ、そうハッキリ口に出した彼は、少なくとも私がいるうちにその社員に質問することはなかった。
「あっ、篠宮さんにも怒られるけど、いつも僕のことを思って言ってくれるので絶対嫌いにならないです!」
だって、私はそれが分かっているから言い方を気をつけてるのよ。
そう思いながらも、「ありがとう」と微笑んだ。
関係が変わって、つい忘れてしまっていた。
いや、甘えていたのだと思う、彼との関係に。
どんな私でも受け入れてくれると期待してしまっていた。
まだ、青井君は若いのに。
現に、あれから青井君から連絡が来なかった。
たったあれだけのことで変わってしまうの?という気持ちと、
人の気持ちなんて理屈じゃないという気持ちで連絡を待つことしかできなかった。
そう言われたのは、ずっとずっと前。
私たちが先輩後輩だった頃の話。
「どうした?何かあったの?」
不服そうな顔をした青井君が、隣に座り込んで私を見上げる。
そして、ないしょ話をするように顔を近づけてくる。
「あの人、自分が説明下手すぎるのに、理不尽にキレるんですよね」
いろいろ聞き出してみると、いつもやる気がない先輩社員に教わったら、巻き添えでミスをして理不尽に怒られたらしい。
よく指導係にそんな明け透けと話してくるなぁ。
私は内心驚きながらも、心許してくれてるのかと笑って諭す。
「あー、確かにそれはないね。嫌な思いしたね。
まー、青井君はそこ怪しいと思ったのに確認しなかったのは良くないかなぁ?
自分の身は自分で守らないとね」
そうからかうように軽く指摘すると、青井君が私の顔を見上げる。
「あー、そうか。確かにそうですよね。すみません」
ハッとした顔で素直に謝る青井君が可愛いなと思った。
だが、「まぁ、でももうあの人は嫌いです」と青井君が急に真顔で言うから、私はドキッとする。
「一回悪いイメージつくとなかなか戻らないですね。
どんなに最初にいい人と思っても、マイナスイメージついちゃうと難しいです」
誰しもがそうだとは思いつつ、そうハッキリ口に出した彼は、少なくとも私がいるうちにその社員に質問することはなかった。
「あっ、篠宮さんにも怒られるけど、いつも僕のことを思って言ってくれるので絶対嫌いにならないです!」
だって、私はそれが分かっているから言い方を気をつけてるのよ。
そう思いながらも、「ありがとう」と微笑んだ。
関係が変わって、つい忘れてしまっていた。
いや、甘えていたのだと思う、彼との関係に。
どんな私でも受け入れてくれると期待してしまっていた。
まだ、青井君は若いのに。
現に、あれから青井君から連絡が来なかった。
たったあれだけのことで変わってしまうの?という気持ちと、
人の気持ちなんて理屈じゃないという気持ちで連絡を待つことしかできなかった。