青の秘密を忘れない
第15章 不器用な人
そこから青井君と何回か会った。
二週間に一回は会えるようにと思って、友達と遊ぶと言って出かけ続けた。
「これが本来の僕なんですよ」と言ったのはあながち嘘ではないのかも知れない。
ふとした時に二人しか知らないことでばかみたいに笑ったり、滑って転んでからかっても手を貸してくれることは嫌ではなかった。
ただ、毎回友達のようになっていく感じがぬぐえなくて、もはや手を繋ぐことも怖くなっていた。
青井君も会う度に決意を固めるように、どんどんと態度が雑になっている気がした。
「電車動いてないって」
台風の日だった。
帰りの新幹線が運休になったことを知らせる掲示板を見て途方に暮れる。
とりあえず帰れないので、明日帰ると正臣に連絡を入れた。
「ゆりえさんと一緒?」
「うん、そうだよ」
「分かった、気を付けてね」
私は電話を切って、青井君を振り返る。
青井君は携帯電話を見て渋い顔をしている。
「篠宮さんの宿探してるんですけど、なかなかないですね」
青井君は帰るの?とは聞けなかった。
青井君はまだ在来線で帰れる。
確かに好きかどうか分からないのに一緒に泊まれないよね、と苦笑した。
「私、漫喫とか、行くよ……」
「えっ、でもゆりえさんと泊まるって言ったんですよね?そのまま帰るの怪しくないですか?」
「まぁ確かに……」
それに治安も悪いんで……まで言って、彼は口ごもる。
「心配」って思ってくれてるのだろうなと勝手に解釈してしまう。
言ってくれたっていいのに。
「あーもう悩んでる時間もったいないんで行きますよ」
彼はそう言って私の手をぐっと引いて歩き出す。
「そういう施設です」と照れ隠しなのか投げやりなのかぶっきらぼうに言って、真っ直ぐ前を向いたままネオンがゴテゴテした施設に入っていった。
二週間に一回は会えるようにと思って、友達と遊ぶと言って出かけ続けた。
「これが本来の僕なんですよ」と言ったのはあながち嘘ではないのかも知れない。
ふとした時に二人しか知らないことでばかみたいに笑ったり、滑って転んでからかっても手を貸してくれることは嫌ではなかった。
ただ、毎回友達のようになっていく感じがぬぐえなくて、もはや手を繋ぐことも怖くなっていた。
青井君も会う度に決意を固めるように、どんどんと態度が雑になっている気がした。
「電車動いてないって」
台風の日だった。
帰りの新幹線が運休になったことを知らせる掲示板を見て途方に暮れる。
とりあえず帰れないので、明日帰ると正臣に連絡を入れた。
「ゆりえさんと一緒?」
「うん、そうだよ」
「分かった、気を付けてね」
私は電話を切って、青井君を振り返る。
青井君は携帯電話を見て渋い顔をしている。
「篠宮さんの宿探してるんですけど、なかなかないですね」
青井君は帰るの?とは聞けなかった。
青井君はまだ在来線で帰れる。
確かに好きかどうか分からないのに一緒に泊まれないよね、と苦笑した。
「私、漫喫とか、行くよ……」
「えっ、でもゆりえさんと泊まるって言ったんですよね?そのまま帰るの怪しくないですか?」
「まぁ確かに……」
それに治安も悪いんで……まで言って、彼は口ごもる。
「心配」って思ってくれてるのだろうなと勝手に解釈してしまう。
言ってくれたっていいのに。
「あーもう悩んでる時間もったいないんで行きますよ」
彼はそう言って私の手をぐっと引いて歩き出す。
「そういう施設です」と照れ隠しなのか投げやりなのかぶっきらぼうに言って、真っ直ぐ前を向いたままネオンがゴテゴテした施設に入っていった。