青の秘密を忘れない
帰り道、久しぶりに使うその駅の景色は変わらず、あの頃のままだった。
違うのは、通りすぎていく人々だけ。
青井君との思い出が詰まっている駅。
私は持っていた帽子を取り出してぎゅっと深く被る。
次の特急電車に乗り込もうと足を踏み出す。
その瞬間、降りてきた人と肩がぶつかってよろめいてホームに押し返された。
思わず視線を下げると、
青色が横切った、
気がした。
私は、その方向へ振り向いた。
同時にこちらに気付いて、私の方へ近付いてくる人が目に入る。
「篠宮、さん……」
聞き覚えのある、少し戸惑った優しい声。
カバンについている青いお守り。
私はゆっくりと目線を上げた。
「……もう、篠宮じゃない」
その瞬間、強く引き寄せられて、
帽子のつばが彼の胸に押されて足元に落ちる。
私は拾うこともせず、その人を強く抱き締め返した。
違うのは、通りすぎていく人々だけ。
青井君との思い出が詰まっている駅。
私は持っていた帽子を取り出してぎゅっと深く被る。
次の特急電車に乗り込もうと足を踏み出す。
その瞬間、降りてきた人と肩がぶつかってよろめいてホームに押し返された。
思わず視線を下げると、
青色が横切った、
気がした。
私は、その方向へ振り向いた。
同時にこちらに気付いて、私の方へ近付いてくる人が目に入る。
「篠宮、さん……」
聞き覚えのある、少し戸惑った優しい声。
カバンについている青いお守り。
私はゆっくりと目線を上げた。
「……もう、篠宮じゃない」
その瞬間、強く引き寄せられて、
帽子のつばが彼の胸に押されて足元に落ちる。
私は拾うこともせず、その人を強く抱き締め返した。