エリート御曹司と愛され束縛同居
「愛してる、澪。俺の家族になってくれませんか?」


その瞬間、周囲から音が消える。


今、なんて? これは夢?


「遥、さん……?」

「過ごした時間なんて関係ない。俺が結婚したい、将来を一緒に歩みたいと思った人は澪しかいない……不安にさせてごめん。これから先はずっとお前を守ると誓う」


限界だった。

ずっと泣くわけにはいかないと我慢していた涙が滲んで視界が歪む。

こらえきれない想いと涙が溢れ出して、声が出せなくなった。足がガクガク震えだす。

目の前の大好きな恋人はそっと涙を長い指で拭ってくれる。

「本当はもっときちんと演出してプロポーズをしたかったんだが……これ以上お前を不安にして失いたくない。きっと一生後悔するから」

優しくて甘い言葉が雨のように降り注いで、思考が奪われていく。


「俺と結婚してほしい。お前に会って初めて誰かを愛する気持ちを知った。こんな気持ちになるのは世界中探しても澪しかいない」


改めてはっきり言われた言葉に嗚咽を漏らしながらコクコク頷く。

夢なら覚めないで、信じられない幸せに心が震えだす。

「は、い……よろしくお願いします……!」

「よかった……」

そう言って広い胸に壊れ物を扱うかのように閉じ込める。
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