エリート御曹司と愛され束縛同居
遥さんは泣き止まない私をひとしきり抱きしめて落ち着かせてくれた。

その後、リビングのソファに並んで座り長い話をした。

ずっと私の肩を抱き髪や頬に何度もキスを落とす仕草にはほのかな色気が漂い、話に集中するのが困難なくらいだった。

元々スキンシップの多い人ではあったけれどここまで真っ直ぐな愛情表現をされると嬉しいけれど羞恥が勝ってしまう。

「……疲れているのにごめんなさい」

右隣に座る恋人を見上げて謝罪すると、大人の色香を滲ませた目で見つめられる。

圭太から兄の話を聞いた遥さんはスケジュールを前倒しにし、驚くべき速さで仕事を終えて帰国する算段をつけたという。

「当たり前だろ? 仕事も大事だが仕事は圭太や是川に任せることもできる。でも澪は誰にも任せられない。失ったら後悔するとわかっているのに優先しないわけないだろ。俺の努力家の秘書は気持ちをため込んで我慢するのが得意みたいだから」

クスリと小さな声を漏らす指摘が的を射すぎていて二の句が継げない。

「と、得意なわけじゃ……」

「わかってる。普段、何事にも無頓着なくせに変なところだけ頑なで頑固になる、圭太に以前聞いた話を思い出した」

「圭太が?」


なんで全然知りもしない人に私の失礼な評判を振りまくのよ……。
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