エリート御曹司と愛され束縛同居
7.幸せな対面
遥さんが帰国してから一カ月が経った。

十一月も下旬に入り、気温が随分低い日が続き本格的な冬の訪れを感じる毎日だ。


湾岸エリアのホテルは完成間近になり、来年早々にはお披露目を兼ねたパーティーが開催予定だ。

ヘリコプター事業も順調でホテルのオープンと同時にサービスの開始ができる運びとなっている。

遥さんは宣言通り植戸様に桃子さんの訪問について言及し、思ってもいなかった事態に慌てた植戸様より正式な謝罪をいただいた。

今回の一件で穏やかな王子様だと思っていた副社長の抗議に、色眼鏡で相手を見ていたと痛感した桃子さんは随分ショックを受けていたらしい。

謝罪をしたためた手紙をいただき、そこには彼女の想いがこもっていた。


圭太にも一連の結果を報告した、と聞かされ改めて私も電話をするとあの日と同じように優しい声でただひと言『幸せになれよ』と言われた。


さらに用意周到な副社長は公式な発表こそしていないが、社内外で曖昧に噂になっていた私たちの関係をきちんと肯定した。

それらしき話は一日の仕事を終えて共に眠る直前にされていた気がするけれど、微睡の中であまり覚えておらず佳奈ちゃんからの電話で知らされて驚いた。


『大事な婚約者だと周囲に話すと言わなかったか?』


寝耳に水の出来事に焦るとあっさり返されてしまって愕然とした。


『男除けは必要だろ?』


妖艶な眼差しと甘い声で囁く婚約者に反論できないのは惚れた弱味だろうか。
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