エリート御曹司と愛され束縛同居
「これ……!」
「一生一緒に生きてもらいたい澪にあの契約書はもう不要だろ。今度はそれにサインしてくれないか?」
渡された紙は婚姻届で、既に遥さんは記入済みだった。
婚姻届を握る指が震える、なにか言いたいのに胸が詰まってなにを口にすればいいのかわからない。
嬉しさと幸せと突然の出来事に対する些細な戸惑い、色々な気持ちがない交ぜになっている私に、大好きな人はいつの間に用意していたのか、ソファから薄いピンクのガーベラの花束を取り上げた。
「今すぐ届けを出すわけじゃない。お互いの両親に挨拶をきちんとして承認欄を書いていただいて、ふたりで納得した日に提出しに行こう」
真摯な目が私を見据え、誰よりも愛しい声が耳に響く。
いつの間にか溢れ出した涙が床にぽたりと落ちた。
声にならずにただ頷くと遥さんはそっと花束を手渡してくれた。
「なんで私がこの花を好きだって知ってるの……?」
聞きたいことはほかにもあったけれど、頭が回らなくなっている私が口にできたのはそれだけだった。
「津守に聞いたんだ。我が家では大事な人に花束を贈る風習があるから……副社長室にこの花を飾ってくれるか?」
悪戯っぽく口角を上げながら緩く私の身体に両腕をまわす。脳裏によぎるのは随分前に先輩と交わした給湯室での会話。
「……はい……!」
それしか言えなかった。
「ありがとう」
ほんの少し体を屈めて額にキスが落とされる。
頬と瞼に唇で触れられた後、ゆっくりと唇が重なる。
新しい契約書はこのうえなく私を幸せにしてくれた。
「一生一緒に生きてもらいたい澪にあの契約書はもう不要だろ。今度はそれにサインしてくれないか?」
渡された紙は婚姻届で、既に遥さんは記入済みだった。
婚姻届を握る指が震える、なにか言いたいのに胸が詰まってなにを口にすればいいのかわからない。
嬉しさと幸せと突然の出来事に対する些細な戸惑い、色々な気持ちがない交ぜになっている私に、大好きな人はいつの間に用意していたのか、ソファから薄いピンクのガーベラの花束を取り上げた。
「今すぐ届けを出すわけじゃない。お互いの両親に挨拶をきちんとして承認欄を書いていただいて、ふたりで納得した日に提出しに行こう」
真摯な目が私を見据え、誰よりも愛しい声が耳に響く。
いつの間にか溢れ出した涙が床にぽたりと落ちた。
声にならずにただ頷くと遥さんはそっと花束を手渡してくれた。
「なんで私がこの花を好きだって知ってるの……?」
聞きたいことはほかにもあったけれど、頭が回らなくなっている私が口にできたのはそれだけだった。
「津守に聞いたんだ。我が家では大事な人に花束を贈る風習があるから……副社長室にこの花を飾ってくれるか?」
悪戯っぽく口角を上げながら緩く私の身体に両腕をまわす。脳裏によぎるのは随分前に先輩と交わした給湯室での会話。
「……はい……!」
それしか言えなかった。
「ありがとう」
ほんの少し体を屈めて額にキスが落とされる。
頬と瞼に唇で触れられた後、ゆっくりと唇が重なる。
新しい契約書はこのうえなく私を幸せにしてくれた。