エリート御曹司と愛され束縛同居
「至らない点は多々あるかもしれません。それでも澪は我々の自慢の娘です。どうか傷つけて泣かせないでください。この子が愛する人の隣で笑って人生を送れることが我々の望みです」

父の声が静かな和室に響く。母と兄も同じように頷く。

「……この子は我慢してしまうところがあります。お立場上難しい時もあるでしょう。親バカと思われるかもしれませんがどうかこの先、澪を一番に優先して考えてやってください」

母が初めて遥さんに願いを口にした。その声は凛としたもので胸が詰まった。

「はい、そうあるつもりです。澪さんより優先すべき事案なんてそうそうありません」

「澪もそれでいいわね?」

「は……い。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ありがとう。心配かけてごめんなさい」

家族に伝えたい気持ちは数えきれないくらいにある。

こみ上げる熱い想いが大きすぎて涙が溢れてしまう。

膝の上で強く握りしめた拳をそっと遥さんが大きな手で包んでくれた。

その温もりが嬉しくて温かくて涙がさらに止まらなくなった。


もう迷わない。私はこの人と共に生きていく。

この人とならきっと幸せに生きていける、その自信がある。
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