初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
結婚生活のはじまり
キングサイズのベッドの端に座る私に、まだ馴染みのない低い声がかけられる。
「大丈夫か?」
「はい」と答え顔を上げれば、極上の容姿を持つ男性と視線が重なった。
すっきりとした印象の切れ長の瞳、その直ぐ上に意思の強そうな眉がある。通った鼻梁、薄い唇。肌はやや日焼けしているものの毛穴一つなく滑らかだ。
小さな形良い顔に、全てのパーツがバランス良く収まっている。
初対面でも強い印象を与える端正な顔、それに相応しい理想的な体付き。
彼は私が勤める桜川都市開発株式会社の専務取締役で、名前を桜川柊哉(さくらがわしゅうや)と言う。
年齢は三十才。創業者一族で次期社長と目される一般社員とは一線を画す存在だ。
地位、財産、容姿を含めた個人的な能力。全てが完璧と評価される彼が、今日私の夫になっただなんて未だに信じられない。
まるで夢の中にいるような気持ちでいると、そっと頬に触れてくる大きな手の感触に現実に連れ戻される。
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