初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「池田さん、桜川専務と交流が有ったんですかね?」
見入っていた私は、小林さんの声ではっとした。
不意に、先日桜川本家で聞いた話が頭に浮かんで来たから。
『香子さんとの結婚が決まって、女性関係も清算したって聞いている』
『確か名前は“ふうか”さんって言ってたかな』
心臓がドキドキと常ならない音を立てているような気がした。
冊子の中から目当ての写真を捜して行き、そして見つけた。
「……池田風花……ふうかさん?」
思わず声に出すと、小林さんが怪訝そうにに首を傾げた。
「桐ケ谷さん、そんな呼び方してましたっけ? ……池田さんなんか子供みたいですよね。彼女は短大卒みたいだから若くて当然かもしれないですけど。あんまり面影ないですね」
小林さんが言う通り、池田風花さんの顔写真はまるで少女のようだった。
真っ白で染みのない化粧っ気の無い肌。溌剌とした印象の大きな瞳。
メッセージには、一生懸命働きますといった内容が書いてある。子供っぽい文面だけど熱意は伝わってくるものだった。
私の知っている池田さんとは全然違う。でも問題はそんなことではない。
柊哉さんの元恋人、“ふうかさん”は彼女なの?
思い返してみても、彼女と柊哉さんが関わっていたような記憶はない。
だけど私だって社内では柊哉さんと関わらない。
彼女ともこっそり付き合っていた可能性はある。
急に会社を辞めたのだって、私との入籍が決まった時期だ。
胸の騒めきは治まらない。彼の過去は気にしないと決めていたけれど、ぼんやりとしていた昔の出来事が、急に現実味を持って目の前に迫って来たようで重苦しい気持ちになってい
見入っていた私は、小林さんの声ではっとした。
不意に、先日桜川本家で聞いた話が頭に浮かんで来たから。
『香子さんとの結婚が決まって、女性関係も清算したって聞いている』
『確か名前は“ふうか”さんって言ってたかな』
心臓がドキドキと常ならない音を立てているような気がした。
冊子の中から目当ての写真を捜して行き、そして見つけた。
「……池田風花……ふうかさん?」
思わず声に出すと、小林さんが怪訝そうにに首を傾げた。
「桐ケ谷さん、そんな呼び方してましたっけ? ……池田さんなんか子供みたいですよね。彼女は短大卒みたいだから若くて当然かもしれないですけど。あんまり面影ないですね」
小林さんが言う通り、池田風花さんの顔写真はまるで少女のようだった。
真っ白で染みのない化粧っ気の無い肌。溌剌とした印象の大きな瞳。
メッセージには、一生懸命働きますといった内容が書いてある。子供っぽい文面だけど熱意は伝わってくるものだった。
私の知っている池田さんとは全然違う。でも問題はそんなことではない。
柊哉さんの元恋人、“ふうかさん”は彼女なの?
思い返してみても、彼女と柊哉さんが関わっていたような記憶はない。
だけど私だって社内では柊哉さんと関わらない。
彼女ともこっそり付き合っていた可能性はある。
急に会社を辞めたのだって、私との入籍が決まった時期だ。
胸の騒めきは治まらない。彼の過去は気にしないと決めていたけれど、ぼんやりとしていた昔の出来事が、急に現実味を持って目の前に迫って来たようで重苦しい気持ちになってい