初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「では頂くね。ひとりじゃ食べきれないだろうから、総務のみんなに配っても大丈夫?」

「それは任せる」

「ありがとう」

「どういたしまして」

進藤君はその後も総務に滞在して、小林さんと世間話をしていた。

一応小声で静かに会話しているので騒がしくはないけれど、二人とも目立つので皆気付いているようだった。

私は会話に参加する余裕は少しもなくて、時々話しかけられても、殆ど返事が出来なかった。

ふと気が付けば、進藤君の姿は消えていた。



怪我の影響もあり、残業になってしまった。

あんなにおしゃべりしていた小林さんは三十分程の残業で退社した。

相変らず要領が良くて感心する。

七時半を過ぎると、だんだんと人は減り残っているのは私だけになっていた。

少し焦りながら、契約書に必要事項を記入をしていると、手元に影が落ちた。

顔を上げれば、そこには真田課長が居て書類に目を向けている。
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