初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
柊哉さんと親しい真田課長なら池田さんについて知っているかもしれない。

そう考えると、聞いてしまいたい欲求がこみ上げて来る。

だけど、私は個人的な悩みを打ち明ける程、真田課長と打ち解けていない。

それに彼に話したら柊哉さんの耳に入る可能性が高い。気にはなるけど無理だよね……。

「彼女、仕事面ではどうだ?」

真田課長の言葉にはっとした。彼女? 一瞬、池田さんかと思ったけどそんな訳がない。

小林さんについて問われているのだと理解し、私は気を取り直して報告する。

「新入社員教育レポートでも上げていますが、覚えも要領も良いです」

「確かに要領は良さそうだ。もう少し業務量を増やしても平気そうだな。とりあえず三月までに桐ケ谷さんの業務を引き継げる程度には、成長させておいて」

「はい。私の後任は小林さんで決まりですか?」

真田課長は少し間を置いてから、答える。

「可能性はあるが、決定ではないな」

「では人が増えるんですか?」

大きな異動次期は終わったけれど、中途採用や海外から戻った人たちが入ってくることは時々ある。

「まだ本決まりではないから、答えられない」

「そうですか……」

まだ一般社員には教えられない情報ってことだ。自分が関わる内容だから知りたかったけど、真田課長は口が堅そうだから、会話の流れで漏らすなんてなさそうだ。

がっかりしたけど、仕方ない。

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