初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「桐ケ谷さんから相談を受けていました。業務に直接は関係ありませんが、早急に解決する必要がある為、遅い時間ですが話し合っていました。内容は真田課長から指摘の有った件です」

流暢な返答に感心した。進藤君はこの状況でも殆ど動揺していない。

真田課長は「なるほど」と頷いた。

「進藤君は当事者だからね。それで解決策は見つかった?」

「はい。当分私が総務に近付かないようにします」

「それがいい」

「それで問題が解決しないようであれば、厳しい注意が必要かもしれません

真田課長はちらりと柊哉さんに目を向けた。

柊哉さんの顔に依然として穏やかさは無かったけれど、口を開く気配はない。

真田課長が話を続けた。

「話はついたようだから、桐ケ谷さんはもう帰りなさい。進藤君は私からも話があるので少し残ってくれ」

「はい」

私と進藤君は了承の返事をして、それぞれ別の方向に移動した。

私はエレベーターホールへ。進藤君は一旦自分の所属する経営企画部へ。

エレベータに他に人はおらず、私は奥の壁にもたれて、はあと息を吐いた。
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