初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~

「私が進藤さんと話すのがそんなに気に入りませんか?」

「そ、そういう訳じゃ……」

「うそ! だったらどうしてこんな所に呼び出して文句を言うんですか? 私の態度が悪いと言うけど、無遅刻無欠勤です。仕事だってミスだらけの先輩社員の仕事を引き継いだのに、必死に対応しています」

小林さんがこんなに怒ると思わなかった。
気分を損ねるだろうとは思ったけど、一言愚痴を言う程度かと。

彼女はものをはっきり言うけど、要領が良いし、空気が読めない人じゃない。

先輩社員を声を荒げて責めたら、損をするのは自分だって分かっているはずなのに。

ヒステリックになっている彼女は、情緒不安定に見えた。

重ねて注意をしても事態は悪化する気がして黙って様子を見守っていると、段々と落ち着いて来たようだった。

「……すみません」

青ざめた顔の小林さんが頭を下げる。

「大丈夫?」

「はい。今の発言……忘れて貰えませんか? これからは態度を改めますから……進藤さんにも馴れ馴れしくしません」

彼女の声は少し震えていた……もしかして進藤君と何か有ったの?

私が彼に相談したからかもしれない。



最悪の空気の中、話合いは終了した。

この日から進藤君が総務に来ることは無くなった。小林さんも真面目に業務に取り組んでいる。私語はない。

だけどいつも明るかった彼女の笑顔は消えてしまい、とても良い結果とは思えなかった。

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