初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「お正月に桜川本家に行ったとき、柊哉さんの昔の恋人の名前が風花さんだと聞いたの。その時には気付かなかったけど、あとから相手は池田風花さんなんじゃないかと気が付いた。そんなによくある名前とも思えないし、彼女は私達の入籍のあと直ぐに退職した……本当に違うの?」
こんな風に逃げ道を塞ぐように問えば、柊哉さんに嫌われてしまうかもしれない。
不安に怯えながらも、答えを待つ。
柊哉さんは、怒りはしなかったけれど、苦々しい表情をした。
「やはり本家で彼女の存在を知ったのか」
「その後、会社で柊哉さんと池田さんが同期だと知ったの。真田課長に聞いたらふたりは仲が良かったって……でも柊哉さんは私の前で池田さんについて話したことが無いでしょう? それは隠したい相手だからじゃないの?」
「確かに香子には知られたくなかった。でもそれは疚しい気持ちではなく、心配させたくなかったからだ」
その言葉に私は戸惑いを覚える。
「心配って、やっぱり付き合っていたの?」
「違う。一から話すから聞いてくれるか?」
「はい」
柊哉さんが何を語ろうとしているのか分からないけれど、もちろん最後まで聞くつもりだ。
私にとって辛い内容でも、本当のことを知りたい。
「池田さんとは入社して直ぐに話すようになった。香子も知ってる通り、新入社員研修のときは常に同期で行動するせいか、早々に打ち解ける。彼女は一番年下で頼りないところはあるが明るい性格だったから、俺も真田も妹のように感じていた」
池田さんが明るい性格? なんだか私が彼女に持つ印象と違う。
「本配属後も、俺と真田と池田さんは本社勤務だったから、ときどき集まっていた。仕事のあと普通の居酒屋が多かった。メンバーはその時々で違ったが、彼女とふたりきりになったことはない。だから何の問題もないと思っていたんだ」
柊哉さんは何を思い出したのか、顔を曇らせた。
こんな風に逃げ道を塞ぐように問えば、柊哉さんに嫌われてしまうかもしれない。
不安に怯えながらも、答えを待つ。
柊哉さんは、怒りはしなかったけれど、苦々しい表情をした。
「やはり本家で彼女の存在を知ったのか」
「その後、会社で柊哉さんと池田さんが同期だと知ったの。真田課長に聞いたらふたりは仲が良かったって……でも柊哉さんは私の前で池田さんについて話したことが無いでしょう? それは隠したい相手だからじゃないの?」
「確かに香子には知られたくなかった。でもそれは疚しい気持ちではなく、心配させたくなかったからだ」
その言葉に私は戸惑いを覚える。
「心配って、やっぱり付き合っていたの?」
「違う。一から話すから聞いてくれるか?」
「はい」
柊哉さんが何を語ろうとしているのか分からないけれど、もちろん最後まで聞くつもりだ。
私にとって辛い内容でも、本当のことを知りたい。
「池田さんとは入社して直ぐに話すようになった。香子も知ってる通り、新入社員研修のときは常に同期で行動するせいか、早々に打ち解ける。彼女は一番年下で頼りないところはあるが明るい性格だったから、俺も真田も妹のように感じていた」
池田さんが明るい性格? なんだか私が彼女に持つ印象と違う。
「本配属後も、俺と真田と池田さんは本社勤務だったから、ときどき集まっていた。仕事のあと普通の居酒屋が多かった。メンバーはその時々で違ったが、彼女とふたりきりになったことはない。だから何の問題もないと思っていたんだ」
柊哉さんは何を思い出したのか、顔を曇らせた。