初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「……でも、問題が起きてしまったの?」

「あと少しで入社五年目になるという頃、俺ひとりが彼女に呼び出された……初めて会った時から好きだったと言われた」

後半、柊哉さんはとても言い辛そうだった。

ある程度予想していたものの、やはりふたりはただの同期ではないのだと確定してしまった。

「大丈夫か?」

落胆が顔に出ていたのか、柊哉さんが心配そうな声をかけて来る。

「うん、続けて」

「……かなり驚いたがその場ではっきり付き合えないと返事をした。問題はその後だ。あとから知ったが、彼女は断られるとは思っていなかったんだ」

「え?……どうして?」

告白するとき、絶対大丈夫だなんて思うものなの?

「俺の態度が勘違いさせるようなものだったからだ」

柊哉さんは私の視線から逃げるように、目を伏せる。

「気の合う友人だと、休日に会い自宅にも呼んだ。ふたりきりではなかったが、彼女は自分が好かれているからだと受け取ったそうだ。俺は社会人になってから一度も恋人を作らなかった。考えてみれば池田さんが一番近い女性だったんだ。だから異性として見たことはないと言ったとき、激しく動揺していた」

「それは……池田さんとしてはショックだったと思うけど、仕方がないんじゃ……」

柊哉さんはとても後悔しているようだけど、私は誰が悪いと決めることは出来ないと思う。

だけど彼は首を横に振った。
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