初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
これは……ますます空気が重い。

どうしようかと思っていると、お義祖父様が口を開いた。

「あの二人は相変わらずだな」

短い言葉だったけれど、柊哉さんの両親への非難が込められていると分かった。

ふらふらと落ち着かないお義父様と、それを止められずに自分が弱ってしまうお義母様は、桜川の親族からも冷ややかな目で見られている。

もちろんお義祖父様も良く思っていない。だからこそ柊哉さんは自分が会社を継いで、皆を見返したいと頑張っている。

「家族がしっかりしないと、柊哉を後継には出来ないぞ」

「えっ?」

思わず声を上げてしまった。だって柊哉さんが後継だと決まっていたんじゃないの?

その為に私と結婚したはずでは?

お義祖父様は私には穏やかな口調で言う。

「家族に問題があるのは危険なんだよ。そこに付け込む人間が必ずいるから」

「でも……柊哉さんは後を継ぎたいから私との結婚を決意したのに」

駄目になったら私の妻としての価値は無くなる。柊哉さんはどう思うの?

結婚式は目前に迫っている。もし彼が結婚に後ろ向きになってしまったら?

不安がこみ上げる。だけど直ぐにそんな考えは振り払った。

きっかけは条件ありきだったけれど、今は私を大切に想っていると柊哉さんは言った。

言葉でも態度でも気持ちを伝えてくれた。


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