初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
優しい夫との問題
時計を見ればもう七時を回っていた。朝の一時間って本当に早い。

八時過ぎには出たいのでもうあまり時間がない。

急いで朝食作りに取り掛かる。理想では昔ながらの和朝食を用意したかったけれど、諦めてハムトーストとサラダにする。

作っている途中に柊哉さんが起きて来た。彼は寝起き姿だとう言うのに爽やかで清潔感に溢れて見えた。

「おはよう」

「おはようございます。あと少しでご飯できますから」

「作ってくれたのか?」

柊哉さんは少し驚いたようだ。

「もしかして朝食は食べない派ですか?」

「いや、ありがとう頂くよ。先にシャワーを浴びて来る」

彼がバスルームに消えると、私は料理の手を早めた。

充分早く起きたつもりだったのに、時間は全く足りなかった。

朝食は出せたものの後片付けをする時間もないまま、出発の時間になってしまった。

「片付けは俺がしておくから」

柊哉さんはそう言ってくれたけれど、自分が情けなくなってしまった。

凹みながらマンションを出て駅に向かう。

駅までは問題なく着いたけれど、電車はかなり大変だった。実家からの路線より大分乗車率が高
いようで、ぎゅうぎゅうに押され、会社に着いた頃には疲れ切っていた。
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