初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~

所属する総務部のフロアには八時四十分に到着した。

「おはようございます」

挨拶をしながら自席に向かうと、皆いつも通りの返事をしてくれる。

よかった、入籍については漏れていないみたい。大丈夫だとは思っていたけど、少しだけ心配だったからほっとした。

出入口から見て横に長いフロアの入口近くが私の席。

人通りが多く落ち着かないのが欠点だけど、座席の文句は言えないので仕方ない。

席に座り今日の仕事の準備をしていると、元気のよい声がした。

「おはようございます!」

私の右隣の席の椅子を勢いよく引いたのは、新入社員の小林優海《こばやし ゆうみ》ちゃん。私が指導係をしている後輩だ。

明るく物怖じしない性格のようで、先輩に対しても遠慮なくものを言う。私もときどき鋭い意見を言われタジタジになるときがあった。でも基本的には仲良くやっている。
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