初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
な、なんで?

用が有るのだとしても、こんな人目が有るところで寄ってこなくてもいいのに。

内心慌てているけれど顔に出す訳にはいかない為、必死に心を落ち着けようとする。

しばらくすると、名前を呼ばれた。

「桐ケ谷さん」

この声は、柊哉さんではなく真田課長。
ほっとしながら顔を上げるも彼のすぐ隣には柊哉さんが居たから、つい声が上ずってしまった。

「は、はい」

「少しいいかな?」

真田課長は目線で総務のフロア隣の会議室を示している。

「……はい」

一体何の用か予想もつかないものの、ノートパソコンを持ち会議室に向かう。もちろん柊哉さんも一緒で、同僚たちの視線が集まっているのを強く感じた。

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