初夜から始まる夫婦事情～一途な次期社長の溺愛は鎮まらない～

「香子の上司にも事情を知る者は必要だ。真田は口が堅いから心配しなくていい」

「確かにそうですね」

私はいずれ退職するから、今後の仕事の振り分けなど考慮して貰う必要がある。

「何か有ったら真田に相談してくれ」

私は柊哉さんの言葉を受け、真田課長に頭を下げた。

「真田課長、よろしくお願いします」

いきなり結婚報告、相手は自分達の専務という状況なので気まずさはあるけれど、柊哉さんが信頼しているようだし、きっと大丈夫。


柊哉さんはそれから直ぐに会議室を出て行った。次の予定が迫っているらしい。

私は真田課長と今後の業務の打合せを少ししてから会議室を出た。

自席に戻ると、椅子に座る間もなく小林さんから質問攻めにされた。

「専務と打合せなんて何が有ったんですか？」

「打合せというか、福利厚生の実務処理について質問されただけ」

事前に真田課長が考えた理由を告げる。

小林さんは「そうなんですか」とつまらなそうに言い、仕事に戻った。