初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「早いね、仕事は大丈夫だったの?」

紫穂はインテリアコーディネーターで、私に比べ仕事時間が不規則だ。その為いつもはたいてい私の方が先に着いている。

「久しぶりに香子と会うからね。かなり前から調整してたの」

「そうなの?」

「そうだよ。結婚相手の話とか聞きたいし。いつもの頼んでおいたから」

この豆腐会席店は私と紫穂のお気に入り。頼むのも決まっていて鍋付きのコース料理。

直ぐに一品目と飲みものが運ばれて来たので、乾杯する。

「それで新婚生活はどうなの?」

紫穂が、湯葉煮に箸をつけつつ聞いて来た。

「予想より順調だよ」

「良かったじゃない。旦那様は優しいの?」

「うん。気遣いがあるし、家事も手伝ってくれるの」

「へえ……なんか意外だわ。あの桜川柊哉が家事をするなんてね」

紫穂は私から話を聞いて直ぐに、柊哉さんについて調べたそうだ。

彼は有名人なのでインターネットでちょっと検索するだけで、写真が出て来る。

経済誌のインタビューを受けたこともあるようで、そのときの記事が残っていた。
私も勿論確認したけど、仕事の話だけでは彼のビジネスマンとしての一面しか現れておらず、人格までは分からなかった。

だから紫穂は柊哉さんを、クールな経営者と思っている。

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