初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「思っていた人とかなり違っていたの。家では結構のんびりしているから私もリラックス出来るんだ」

「そっか。安心した。急に結婚を決めたって言うから心配してたんだ。香子っておおらかと言うか、受け皿が広いと言うか、結構何でも受け入れちゃうでしょ? でも結婚はもっと慎重に考えた方が良かったんじゃないかと思ってたから」

付き合いが長い紫穂は私の性格を理解している。彼女が言う通り、私は何事にも拘りが少ない方で、“まあいいや”で済ませてしまうところがある。

穏便に済ませたい、他人に迷惑をかけてはいけない。そんな気持ちと、波風を立てるよりは自分が折れた方が楽だからなのだけれど、紫穂としては我を通さない私は頼り無く見るみたい。

逆に紫穂はとても拘りが強くそれは長所でも短所でもある。

インテリアコーディネーターの仕事では妥協しない仕事ぶりでお客様の評判はなかなか良いそうだけど、日常生活においては相手をうんざりさせてしまうときもある。

紫穂には妥協、私には拘りが足りていない。

「紫穂と私を足して割れば丁度いいんだけどね」

「ほんと。でも余程のことがないと性格は変わらないよね」

紫穂はグイっとビールを飲み、話を戻して来た。

「香子は結婚して良かったと思ってるんだよね?」

私は悩まずに頷いた。

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