初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「あの、昨夜はいつの間にか寝てしまったみたいで、すみませんでした」

彼は困惑の表情を浮かべた。

「謝る必要はない。それよりもう少し休んだ方がいいんじゃないか?」

頬が熱くなるのを自覚した。彼が心配しているのは、きっと昨夜の私の痛がりようを覚えているからだ。

「だ、大丈夫です。それにあまり遅くならない内に帰らないと。明日は仕事ですから」

「そうか」

「はい。柊哉さんは時間大丈夫ですか?」

彼は私より格段に多忙だ。今日の仕事は休みにしているはずだけど、急用が入ったとしても不思議はない。

「昨日と今日は何も予定を入れていない。俺のことは気にしなくていい」

「はい。では先にバスルームを使わせてもらいますね」

私はベッドから出ようと身体を起こした。だけど、毛布の中は裸の為、困ってしまった。

昨夜散々見られたんだろうけど、改めて見られるのは抵抗がある。

そんな私の心情を察してか、彼はさり気なく視線を外してくれた。

私はホッとしながら床に落ちていたバスローブを拾う。

素早く纏うと、小走りにバスルームへ向かった。
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