初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
紫穂は戸惑いを見せたものの素早く立ち直り確認して来た。

「それってつまり、一度は有ったってわけよね?」

「うん。入籍の日にね」

「でも、それ以来なしと」

「……はい」

非常にデリケートでプライベートな内容を明け透けに話すのは、かなり恥ずかしい。

声の小さくなる私とは逆に、紫穂の声は大きくなる。

「それは大問題よね」

「私もそんな気がしているの」

二日目は慣れない私を気遣ってくれているのだと思っていた。

三日目も同じような受け止め方をし、四日目になるとあれ? と不審に感じ始めた。

そしてあっという間にひと月が経過。柊哉さんは爽やかな笑顔で「おやすみ」と言い自分の部屋に入ってしまう。

普通の新婚夫婦ではあり得ない光景に思えて、さすがに不安になって来ている。
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