初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「あっ!」

「香子?」

柊哉さんが咄嗟に手を伸ばし、支えてくれたので転倒は免れた。

腰に柊哉さんの手が回り、リビングのソファーに連れていかれる。

「かなり飲んだのか?」

私は気まずい思いで頷いた。

「でも頭ははっきりしてるし、大丈夫かと思ってたの」

「体の方に出る場合もあるからな」

柊哉さんはキッチンからミネラルウォーターを取って来て渡してくれた。

「ありがとうございます……迷惑かけてごめんなさい」

新婚早々お酒にだらしないところを見せてしまうなんて。
自己嫌悪で項垂れると、柊哉さんが隣に座って来た。

「迷惑だなんて思ってない。でも今度から飲み過ぎたときは連絡をして」

「え?」

「迎えに行くから」

至近距離から見つめられ、頬に熱が集まった。

「あの……ありがとうございます。でもこんな失敗はもうしないようにしますから」

動揺を抑えなんとか返事をした。すると柊哉さんはどこか寂しそうな表情を浮かべる。

どうして? 私何か失言した?

不安になっていると、柊哉さんが珍しく躊躇いがちに切り出した。
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