初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
資材管理の修正は予想より手こずった。

目途が付いたので少し休憩をと時計を見ると、もう二十時を回っていた。

同僚たちは三十分くらい前から帰宅をはじめ、残っているのは私と男性社員が二人だけ。

小林さんは五分前に退社した。

柊哉さんは十一時に戻ると言っていたから、私もあと一時間後には会社を出たいな。

コーヒーを飲んで一息入れたら急いで続きをしよう。

オフィスビル内に美味しいコーヒーショップが入っているけど、今は時間がないのでパントリーのコーヒーマシンで妥協する。


フォルダーに使い捨てのカップをセットしていると、思いがけなく声をかけられた。

「すみません」

え? と思って振り向くと若い男性社員がパントリーの入口に佇んでいた。

長身ですらりとした身体つき。ストライプグレーのスーツが良く似合っている。

爽やかな印象のショートヘアで目鼻立ちが整っている。

どこの部署の人だろう。
見覚えがある気はするけど思い出せない。
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