初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
数秒悩んでから思い出すのは無理と諦め、返事をした。
「どうかしましたか?」
私に用があると言うより、総務に他に人がいなかったので声をかけられたのだと思った。
けれど男性は思いがけず私の名前を口にした。
「やっぱり桐ヶ谷だ。久しぶり」
「え……」
久しぶりって随分と親し気な声かけだけど……。
私は彼の顔をじっと見つめ、同時に頭の中では猛烈に記憶を探っていく。
そしてようやく気が付いた。
「もしかして、進藤君?」
「もしかしてって、他にいないだろ?」
彼は少し呆れたように言う。
間違いない、彼は同期入社の進藤伊吹だ。そう言えば関西から本社に異動になると、通知書に書いて有ったっけ。
「もう本社にいると思わなかったから。関西での引継ぎは終わったの?」
「基本的には終わってる。あと数回は関西に行く必要はありそうだけど」
「そうなんだ。大変だね」
彼はとても仕事が出来ると、小林さんが言っていたから担当業務も多かったのだろう。
「どうかしましたか?」
私に用があると言うより、総務に他に人がいなかったので声をかけられたのだと思った。
けれど男性は思いがけず私の名前を口にした。
「やっぱり桐ヶ谷だ。久しぶり」
「え……」
久しぶりって随分と親し気な声かけだけど……。
私は彼の顔をじっと見つめ、同時に頭の中では猛烈に記憶を探っていく。
そしてようやく気が付いた。
「もしかして、進藤君?」
「もしかしてって、他にいないだろ?」
彼は少し呆れたように言う。
間違いない、彼は同期入社の進藤伊吹だ。そう言えば関西から本社に異動になると、通知書に書いて有ったっけ。
「もう本社にいると思わなかったから。関西での引継ぎは終わったの?」
「基本的には終わってる。あと数回は関西に行く必要はありそうだけど」
「そうなんだ。大変だね」
彼はとても仕事が出来ると、小林さんが言っていたから担当業務も多かったのだろう。