初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
マンションに戻ると柊哉さんがコーヒーを淹れてくれた。

私はその間にパンをお皿に並べておく。リビングのソファーに並んで、ふかふかのパンを楽しんだ。コーヒーもなかなか美味しい。

こうして寛いでいる何気ない時間が幸せだなって感じる。仕事の疲れも消えて行くみたい。

柊哉さんも少しは癒されているといいんだけど。隣に目を向けると彼は穏やかな眼差しで私を見つめていた。

「柊哉さん、どうかした?」

「こういうのいいなと思ってた」

彼の言葉に、嬉しくなった。

「私も同じように考えてた」

急に甘えたくなり、柊哉さんに寄りかかるように身を寄せる。すると彼は優しく私の肩を抱いた。

柊哉さんの温もりが伝わって来る。幸せな気持ちに浸っていると、彼の声がした。

「近い内に旅行に行かないか?」

私は瞑っていた目をぱちりと開き、身体を起こした。

「旅行? どこに?」

「ふたりでゆっくり過ごせるところ。香子の好きなところでいい」

「ふたりでゆっくり?」

朝起きてから夜寝るまで日常から解放されて、柊哉さんんとのんびり過ごす時間。
想像すると胸が高鳴る。

「行きたい!」

柊哉さんと自然の中で散歩したり、美味しいものを食べ歩いたり。誰の目も気にせず楽しみたい。

「決まりな。クリスマス時期は無理そうだから十二月中旬あたりがいいかな。場所はどうする?」

「柊哉さんと一緒ならどこでもいいです」

柊哉さんと旅行。楽しみで仕方ない。明日からの仕事も頑張れそうだ。

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