初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
散策を終えると午後二時過ぎ。観光客に人気と評判のお蕎麦を食べてから旅館に向かう。

柊哉さんが予約してくれていた旅館は、人気のある老舗だった。建物は古いそうだけれど清潔感があり広々している。

私たちの宿泊する部屋にはゆったりとした露天風呂がついていて、一泊と言わず何日でも過ごしたくなる居心地の良い部屋だった。

「うわあ、素敵な部屋」

感動してきょろきょろと周囲を見て回っていると、柊哉さんがくすりと笑った。

「気に入ってくれてよかったよ。庭園もかなり立派なものらしいから、あとで見に行こうか?」

「行きたい! 夕食が七時からだからまだ時間は沢山あるし、旅館の中も見て回りたいな」

「意外と行動的だな」

柊哉さんはそう言いながら館内案内のパンフレットに目を通す。
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