初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「お義母様はもう大丈夫? お義父様と喧嘩でもしちゃったのかな?」
「いや、今回は親戚連中とのやり取りで疲弊して感情が高ぶったみたいだ」
「親戚と? 上手く付き合っているように見えたけど」
桜川家の親類は皆知的でしっかりとした印象だ。洗練された上品な振舞いで、口が悪い人なんていなかったと記憶しているけど。
柊哉さんはやや躊躇ってから、口を開いた。
「父と母が突然結婚したと言っただろ? 当たり前だけど当時大騒ぎになったそうだ。既に入籍済だったし、母の実家は裕福で何の問題もない家だったから、離婚しろとまでは言われなかったようだが、親戚連中との折り合いは悪くなった。いつの間にか父の失敗は母のせい、と陰口をたたかれるようになったそうだ」
「え……お義父様の失敗は、お義母様のせいではないと思うけど」
親類の言動は、単なる八つ当たりに感じてしまう。
「俺もそう思う。それでも悪いイメージは定着した。うちは桜川家の癌。母が悪い気を持ち込んでいるって。親戚の中には占いを信じている者が多いのも悪かった。父がやらかす度に母が責められる流れが出来上がっていた。父は全く頼りなく、母は孤立無援だった」
そんな環境ではお義母様のストレスは相当なものだったろうと同情を覚える。
きっと柊哉さんも同じ気持ちだ。明確な言葉にはしないけど、彼の言い方はお義母様を心配しているし、お義父様と親類に怒りを覚えている。
「柊哉さんも辛かったよね。子供の頃に自分の母親が責められるのを見ていたなんて」
「そうだな。悔しかったよ。母の子である俺も見下されていたが、うちは経済的にも迷惑をかけていたし反論出来なかったから」
「柊哉さんが?」
今となっては桜川都市開発を代表する、能力と知名度のある彼が……信じられない。
「会社に入った頃は、どうせ父親と同じで伸びないだろうと言われてた。だから頑張ったんだよ。いつか俺が会社を継いで、うちを馬鹿にしていた奴らを見返してやる。二度と癌だなんて言わせないって決心して」
私は驚きに目を瞠った。
「いや、今回は親戚連中とのやり取りで疲弊して感情が高ぶったみたいだ」
「親戚と? 上手く付き合っているように見えたけど」
桜川家の親類は皆知的でしっかりとした印象だ。洗練された上品な振舞いで、口が悪い人なんていなかったと記憶しているけど。
柊哉さんはやや躊躇ってから、口を開いた。
「父と母が突然結婚したと言っただろ? 当たり前だけど当時大騒ぎになったそうだ。既に入籍済だったし、母の実家は裕福で何の問題もない家だったから、離婚しろとまでは言われなかったようだが、親戚連中との折り合いは悪くなった。いつの間にか父の失敗は母のせい、と陰口をたたかれるようになったそうだ」
「え……お義父様の失敗は、お義母様のせいではないと思うけど」
親類の言動は、単なる八つ当たりに感じてしまう。
「俺もそう思う。それでも悪いイメージは定着した。うちは桜川家の癌。母が悪い気を持ち込んでいるって。親戚の中には占いを信じている者が多いのも悪かった。父がやらかす度に母が責められる流れが出来上がっていた。父は全く頼りなく、母は孤立無援だった」
そんな環境ではお義母様のストレスは相当なものだったろうと同情を覚える。
きっと柊哉さんも同じ気持ちだ。明確な言葉にはしないけど、彼の言い方はお義母様を心配しているし、お義父様と親類に怒りを覚えている。
「柊哉さんも辛かったよね。子供の頃に自分の母親が責められるのを見ていたなんて」
「そうだな。悔しかったよ。母の子である俺も見下されていたが、うちは経済的にも迷惑をかけていたし反論出来なかったから」
「柊哉さんが?」
今となっては桜川都市開発を代表する、能力と知名度のある彼が……信じられない。
「会社に入った頃は、どうせ父親と同じで伸びないだろうと言われてた。だから頑張ったんだよ。いつか俺が会社を継いで、うちを馬鹿にしていた奴らを見返してやる。二度と癌だなんて言わせないって決心して」
私は驚きに目を瞠った。