初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
柊哉さんとの初めての旅行は、とても思い出深いものになった。
楽しかった観光、寛いだ温泉、それに彼の事情を知りまた一歩近づけた気がした。
休み明け、私は温泉のお土産を手に出社した。
「おはようございます、桐ケ谷さん旅行行ってたんですか?」
最近なぜか早く来るようになった小林さんが、手提げ袋に目を留める。
「そうなの、一泊で温泉に。これチョコのお菓子だからあとで配るね」
会社で配りやすいように、個別包装のお菓子を選んで来たので、不在の人の分は席に置いておけばいい。
「はい、いいなー私もリフレッシュしたい」
「小林さんも遠出すればいいのに」
総務部は休日出勤がほぼないのだから、近場なら気軽に行けそうだけど。
「無理ですよ。お金ないし」
「一人暮らしだったっけ」
それだと新入社員のお給料では大変かも。
小林さんの愚痴を聞きながらパソコンを立ち上げ、仕事の準備をする。
今日は時間に余裕がありそうだから、溜まっている資料の整理をしようかな。
一日の段取りを頭の中で考えていると、小林さんの高い声で思考を中断された。