初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
他人の恋愛事情に、あまり敏感ではない私もさすがに分かった。

小林さんは進藤君が好きなんだって。

今までも仕事が出来る先輩として憧れているのかな? とは思っていたけど、その程度の気持ちではないみたい。

急に早い出社になったのも、進藤君が関係しているのかな……。

気にはなったけれど、プライベートな恋愛事情に口出ししたくない。仕事に問題が出ない限りは放っておくしなさそうだ。



私と小林さんは十二時になると直ぐに、総務のフロアを出て一階の総合受付があるロビーに向かった。

社外の人も含め大勢が行きかう中、キョロキョロと視線を巡らせ進藤君たちを捜す。

「あ、進藤さん!」

私より先に小林さんが彼らを発見した。

向こうも気付いたようで、斎藤さんが私に手を振っている。

懐かしい気持ちになり、早足で近づき合流した。

「四人だし念のため、予約しておいた」

「さすが進藤さん!」

進藤君の予約しておいてくれたイタリアンレストランに、四人で移動する。

自然と進藤君と小林さん、私と斎藤さんの二人組になった。

先を歩く進藤君たちは何を話ているのか聞こえないけれど、かなり盛り上がっている。

私と斎藤さんも、久々の再会に会話が弾んだ。

「桐ケ谷さん、新入社員指導員になったんだね、同期で初じゃない? すごいよ」

「そんな事ないよ。総務は営業より人が少なくて他に適任者が居なかっただけだし」

「桐ケ谷さんしっかりしてるし選ばれたんだよ。それに比べて私なんてミスばっかり。今日の出張もミスしちゃった謝罪回りだし」

「え……そうなの?」

嘆く斎藤さんを励ましながら歩いていると、いつの間にかレストランに到着した。

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