初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
斎藤さんと小林さんは初対面だけど、同僚だけあって話題には困らない。

美味しい料理を楽しみながら和やかに会話をしていると、小林さんが思い出したように私に話しかけて来た。

「そう言えば、旅行は彼と行ったんですか?」

「え?」

突然の話題に戸惑ってしまう。答えようとするより先に、斎藤さんが声を上げた。

「ええ? 桐ケ谷さん彼氏できたの?」

ここに居る人たちは、私の結婚について何も知らない。

柊哉さんとお見合いする前も恋人が居た経験がないので、華やかな話題なんて一切ない私だった。

だから突然小林さんが“彼”なんて言い出したから驚いてしまった。

でも、結婚について全く気付かれていないのが分り安心した。

このまま恋人がいるという設定にしておいた方が後々良さそうだ。

私は「実は、そうなの」と肯定した。すると今度は進藤君が驚愕の表情になった。

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