初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
気になったが割り込んで行く訳にもいかず、その場は引き下がった。
しかし数日後、真田の口から香子の側に居た社員の話を聞くことになるのだった。
真田からの誘いは久々だった。予定の詰まっていない日だったので、香子に夕食は要らないと連絡をし、いつものバーに向かう。
数年前から通っている隠家的な店で、俺も真田も常連とは言えないまでも定期的に訪れていた。
人目に付きづらいボックス席に居た真田は、俺の顔を見ると含み笑いを浮かべた。
「この前、桐ケ谷さんの様子を見に来たんだろ?」
「……そんなことを聞きたくて呼び出したのか?」
「いや、気にしている様子だったから、情報提供しようと思って」
真田は勘がよく頼りになるが、その分知られたくないところまで見抜かれる。
俺は小さく溜息を吐いてから、続きを促した。
「見慣れない顔だったが」
「彼は関西から経営企画に異動になった、桐ケ谷さんの同期だよ。名前くらいは知ってるだろ? 進藤伊吹」
周囲に人が居ないのは分かっているのに、真田は用心深く声を潜める。
それでも、しっかり耳に届いた。
しかし数日後、真田の口から香子の側に居た社員の話を聞くことになるのだった。
真田からの誘いは久々だった。予定の詰まっていない日だったので、香子に夕食は要らないと連絡をし、いつものバーに向かう。
数年前から通っている隠家的な店で、俺も真田も常連とは言えないまでも定期的に訪れていた。
人目に付きづらいボックス席に居た真田は、俺の顔を見ると含み笑いを浮かべた。
「この前、桐ケ谷さんの様子を見に来たんだろ?」
「……そんなことを聞きたくて呼び出したのか?」
「いや、気にしている様子だったから、情報提供しようと思って」
真田は勘がよく頼りになるが、その分知られたくないところまで見抜かれる。
俺は小さく溜息を吐いてから、続きを促した。
「見慣れない顔だったが」
「彼は関西から経営企画に異動になった、桐ケ谷さんの同期だよ。名前くらいは知ってるだろ? 進藤伊吹」
周囲に人が居ないのは分かっているのに、真田は用心深く声を潜める。
それでも、しっかり耳に届いた。