初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
真田と別れ自宅マンションに戻ると、香子が出迎えてくれた。
「柊哉さん、お帰りなさい」
彼女は入浴直後だったのか、素肌には柔らかな素材のガウンを羽織り、頬はピンクに色づいていた。その姿は刺激的で、衝動的な何かが体の内からこみ上げる。
香子は危険な状態の自分に全く気付かない。警戒せずに近寄ると、目を丸くした。
「柊哉さん、沢山飲んだの?」
「ああ」
靴を脱ぎ、香子と共にリビングに向かう。
「いつもよりずっとアルコールの匂いがする。柊哉さんがこんなに飲むなんて珍しいね」
今夜は心が乱れ、いつもよりペースが上がってしまった。
それでも頭はクリアで、足にふらつきもない。
香子の顔を見る迄は酔っていないと思っていたが……。
「香子」
「えっ?」
無防備な香子を強引に引き寄せる。無償に彼女を抱きしめたくなった。
「柊哉さん? あの……」
香子は抵抗せず腕の中に収まりながらも戸惑った様子だった。
こんな風に前置きもなく強引に迫ったことは無いから、訳が分からないのだろう。
それでも止まない衝動のまま、柔らかな唇を奪った。
「んんっ?」
香子はようやく抵抗を見せたが、それを封じて更に深く唇を重ねて行く。
熱くなる体を持て余しながら、僅かに残った理性でこれは嫉妬からくる独占欲だと自覚する。
真田の前では抑えたが、納得はしていなかった。
彼女には自分だけを見て欲しい。
小さな唇を舌でこじ開け侵入する。夢中で貪り続け、苦しそうな声が聞こえたときようやく解放した。
香子は茫然としており、体からはすっかり力が抜けた様子だった。
それでもそのまま手放すなんて出来ずに抱き上げて、寝室に運んで行く。
「柊哉さん……」
ベッドに仰向けに横たわり、潤んだ瞳で見上げて来る香子に、覆いかぶさった。