初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
忙しい業務をなんとかこなし、忘年会などにもしっかり参加して無事お正月休みに突入した。

入籍して初めての長期休暇。

大晦日の夕方、私は柊哉さんと一緒に実家を訪れていた。

久々の実家はやっぱり落ち着く。

柊哉さんは気を遣っているようだったけれど、お父さんはもうお酒が進んでいて、楽しそうに彼に話しかけていた。

「柊哉君、飲んでるか?」

「はい、頂いています」

彼はお父さんに合わせ結構なペースで飲んでいるものの、全く顔色は変わっていない。

「香子が迷惑をかけているんじゃないか?」

「いいえ、よくやってくれていますよ」

柊哉さんはそう言いながら私を見る。その眼差しが優しくて、両親の前だと言うのに顔が崩れてしまいそう。

つい手を止めていると、キッチンから出て来たお母さんに急かされた。

「香子何してるの? 早く並べなさい」

「あ、はい」

私は中断していたすき焼き用テーブルセッティングの続きをする。

うちは一般的な関東風のすき焼き。熱した鍋に牛脂を馴染ませ肉とネギを焼いて割り下を……。しばらくすると良い匂いが漂い始めた。
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