クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「亮くん、本当におめでとう」
「桑名社長、色々とありがとうございました」
亮が律儀に頭を下げると、続けて桑名社長の視線は私に送られた。彼がなにか言いかけたそのとき、一際大きな声が場に割って入る。
「お父さん、話が違うわ!」
激昂気味の桑名さんが大股でこちらに歩み寄って来た。
「違わない。ちゃんと話したじゃないか」
「なんで? 彼と結婚させてくれるって昔からそういう話だったじゃない!」
父親にぶつけていた感情が、次に亮に向けられる。彼女の綺麗な顔が歪み、白いドレスの裾が翻る。
「亮さん、あなた自分のしたことわかっている? クワナ工業の顔に泥を塗る気? あなたのお父さまだって……」
「美加、やめなさい!」
今まで温厚だった桑名社長が声を荒げる。それが意外だったのか桑名さんは泣き出しそうな顔になった。
「すまないね、亮くん。汐里さんも。私が娘に余計なことを言ったばかりに……」
桑名社長は大きく息を吐くと、苦々しく笑った。
「正直ね、昔から君を知っている身としては、亮くんは頭はいいが仕事に対する情熱もいまいちだし、茂さんの後継者としてもあまり期待していなかったんだ」
私はこっそりと桑名社長と亮の顔を交互に見る。亮は相変わらずのポーカーフェイスで傷ついた素振りもない。桑名社長の説明は続く。
「桑名社長、色々とありがとうございました」
亮が律儀に頭を下げると、続けて桑名社長の視線は私に送られた。彼がなにか言いかけたそのとき、一際大きな声が場に割って入る。
「お父さん、話が違うわ!」
激昂気味の桑名さんが大股でこちらに歩み寄って来た。
「違わない。ちゃんと話したじゃないか」
「なんで? 彼と結婚させてくれるって昔からそういう話だったじゃない!」
父親にぶつけていた感情が、次に亮に向けられる。彼女の綺麗な顔が歪み、白いドレスの裾が翻る。
「亮さん、あなた自分のしたことわかっている? クワナ工業の顔に泥を塗る気? あなたのお父さまだって……」
「美加、やめなさい!」
今まで温厚だった桑名社長が声を荒げる。それが意外だったのか桑名さんは泣き出しそうな顔になった。
「すまないね、亮くん。汐里さんも。私が娘に余計なことを言ったばかりに……」
桑名社長は大きく息を吐くと、苦々しく笑った。
「正直ね、昔から君を知っている身としては、亮くんは頭はいいが仕事に対する情熱もいまいちだし、茂さんの後継者としてもあまり期待していなかったんだ」
私はこっそりと桑名社長と亮の顔を交互に見る。亮は相変わらずのポーカーフェイスで傷ついた素振りもない。桑名社長の説明は続く。