クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
なにか軽く食べてから目的地に向かおうという話になり、それからしばらくは大学のときの共通の知り合いの話で盛り上がった。
ゼミで一緒だった同期と仕事の取引先で会ったとか、大学院で博士課程まで進んだ先輩は、どこの大学に就職が決まったとか。
その流れで私は、ふと声をあげた。
「あ、そういえばね」
しかし続けようとした言葉が、別の思考によって遮られる。
「……どうした?」
妙な途切れ方をしたので、不審に思った亮が運転しながら聞いてくる。
「あ、ううん。大学時代の友達の話だけど、亮は知らない子だなって思って。そういえば加藤先生、覚えてる?」
そこでさりげなく、話題を変えた。なにをこんなにも意識しているんだろう。素直に話せばよかった。
私が言おうとしたのは、亮も多分覚えている同期のゼミ生が、大学時代から付き合っていた彼と結婚したというものだ。
亮に伝わってなにも困ることはない。むしろ、知っているかも。
ただ、なんとなく“結婚”という言葉を今のふたりの間で口にするのが躊躇われた。
大学生のときとは違って、周りを見れば男性と付き合うイコール結婚前提というのが当たり前の年齢になってきた。
私だって人生について考えていないわけじゃない。けれどなんとなく今の亮に結婚とかそういったことを意識させるのが怖かった。
ゼミで一緒だった同期と仕事の取引先で会ったとか、大学院で博士課程まで進んだ先輩は、どこの大学に就職が決まったとか。
その流れで私は、ふと声をあげた。
「あ、そういえばね」
しかし続けようとした言葉が、別の思考によって遮られる。
「……どうした?」
妙な途切れ方をしたので、不審に思った亮が運転しながら聞いてくる。
「あ、ううん。大学時代の友達の話だけど、亮は知らない子だなって思って。そういえば加藤先生、覚えてる?」
そこでさりげなく、話題を変えた。なにをこんなにも意識しているんだろう。素直に話せばよかった。
私が言おうとしたのは、亮も多分覚えている同期のゼミ生が、大学時代から付き合っていた彼と結婚したというものだ。
亮に伝わってなにも困ることはない。むしろ、知っているかも。
ただ、なんとなく“結婚”という言葉を今のふたりの間で口にするのが躊躇われた。
大学生のときとは違って、周りを見れば男性と付き合うイコール結婚前提というのが当たり前の年齢になってきた。
私だって人生について考えていないわけじゃない。けれどなんとなく今の亮に結婚とかそういったことを意識させるのが怖かった。