クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
一番に株式会社ズプマリーンコーポレーションの名前を見つける。今回は会社を代表して亮が仕切っているのだから本当にすごい。
続けて並んだ企業名に目を通していくと、覚えのある会社名が視界に入り、私は思わず息を呑んだ。
“クワナ工業株式会社”
あまりよくない記憶が胸に迫る。そのときスマホが着信画面に切り替わり、登録していない番号が表示された。一瞬、躊躇ったが私はおずおずと通話ボタンを押す。
「はい」
『夜分遅くに突然のお電話、失礼します。谷川汐里さんの番号かしら?』
声の主は女性で、おっとりした口調に上品さが滲み出ている。ところが私の背中はぞくりと震えた。
「……そうですけど」
嘘を吐くわけにもいかず、私は素直に答える。電話口の向こうで彼女が笑った気がした。
『お久しぶりです、桑名美加です。覚えていらっしゃいますか?』
忘れるはずない。そしてまさかのタイミングに唖然とするしかない。彼女は今、サイトで名前を目にしたばかりのクワナ工業株式会社の社長令嬢だ。
そして五年前、亮の婚約者だと私に連絡を寄越し、亮の実家の事情などを告げてきた女性だった。そんな彼女がこのタイミングで私になんの用なの?
疑問を浮かべすぐに打ち消す。決まっている。亮絡みに違いない。
続けて並んだ企業名に目を通していくと、覚えのある会社名が視界に入り、私は思わず息を呑んだ。
“クワナ工業株式会社”
あまりよくない記憶が胸に迫る。そのときスマホが着信画面に切り替わり、登録していない番号が表示された。一瞬、躊躇ったが私はおずおずと通話ボタンを押す。
「はい」
『夜分遅くに突然のお電話、失礼します。谷川汐里さんの番号かしら?』
声の主は女性で、おっとりした口調に上品さが滲み出ている。ところが私の背中はぞくりと震えた。
「……そうですけど」
嘘を吐くわけにもいかず、私は素直に答える。電話口の向こうで彼女が笑った気がした。
『お久しぶりです、桑名美加です。覚えていらっしゃいますか?』
忘れるはずない。そしてまさかのタイミングに唖然とするしかない。彼女は今、サイトで名前を目にしたばかりのクワナ工業株式会社の社長令嬢だ。
そして五年前、亮の婚約者だと私に連絡を寄越し、亮の実家の事情などを告げてきた女性だった。そんな彼女がこのタイミングで私になんの用なの?
疑問を浮かべすぐに打ち消す。決まっている。亮絡みに違いない。