絶望からの救世主
運命の出会い.

ピピピピピピッ
「.......ん〜っ、朝になるの早いなぁ......」
眠たい目をこすりながら朝からうるさく鳴る目覚まし時計に手を伸ばす。
今日も1日始まるのかぁ、憂鬱だ。
リビングに行くと、美味しそうな匂いが広がって食欲が出る。
「璃々愛(リリア)〜、早く朝ごはん食べて朝練に行きなさいね。」
そう言うのは私の母である。
私、野崎璃々愛は剣道部で毎日部活頑張ってます!
ごく普通な中学2年の女の子って感じ(笑)
大会が近くて、ここ最近は毎日朝練もある
ここまでだと普通の家族だと思うでしょ?
だけどね、私の家は他の子から見ても異常なぐらいの母親の過保護で母と父はすごく仲が悪いの。
むしろ今まで夫婦喧嘩がない日は、この娘から見る私でもないんじゃないの?って思うくらい。
っと、私の自己紹介はこれぐらいにして(笑)

「いっけなーい!!もう6時半じゃん!」

「早く行きなさい、朝練間に合わないわよ!今日は何時に部活が終わるの?寄り道せずに真っ直ぐ家に帰ってくるのよ。いいわね?」

「.......わかってるよ。今日は19時まで部延長だから少し遅くなる。」

「あらそう。頑張るのよ。次はレギュラーとれそうなの?」

「っうるさいなあ!私だって頑張ってるんだからそれ以上何も聞かないでよ!」

こんな会話をして自転車で中学校まで行く。
中学校までは、まあ早くて25分。
結構な距離なんだよね〜、
ぼやぼやしながら自転車で向かってると、

「璃々愛〜!おはよう!今日あっついね〜」

と、いつもの挨拶が聞こえた。
私に元気に挨拶をしてくれるのはひかり。
ひかりは、なんでも完璧であたしとは正反対なんだあ
長いまつ毛にぱっちり二重で、おまけに勉強は学年トップレベルだし同じ剣道部でもほんとにレベル負けする。
私はいつもそんなひかりを見て羨ましく思っていた。
人一倍努力しても報われない私と、何でも完璧なひかり。

「おはよ!ほんと暑いね」

他愛もない会話をしながら一緒にいつも学校に向かう。

私達の剣道部には、女子6人が部員。
男子は、結構多い。
だけど、剣道の団体には5人しか出られないから、レギュラー争いだ。
今日も、朝から暑い武道館で朝練を終えるといつもの学校が始まる。

家に帰っても息抜きできなくて、叱られてばかりいる私には居場所がないって思い込んでしまって、ストレス発散出来ることと言えば男遊びだ。
私はモテない方じゃない。
顔は普通だけど、友達は多い方だしノリも悪くない。
だから、告られることも多かった。
告られる度にその男の子と付き合ってきたし、私にとってそれが唯一のストレス発散方法だった。
付き合っても遊びに行くことを許してくれないお母さん。
だから、ただ連絡をとって学校とかであうだけ。
こんな感じだったけど、チヤホヤされるのがたまらなく嬉しかった。

「璃々愛〜、ともやとはどうなったの?」

そう聞いてくるのはバレー部の美波(ミナミ)だ。
美波とは中学に入ってすぐに仲良くなった。
なんか、似てる。直感的に思ったから話しかけたんだ!
そしたら今ではすっかり親友って感じ。

「いつの話?(笑)とっくに別れたよ(笑)」

「なんで!ともやくん結構モテるのに!もったいないことしたね〜!」

「そう?男なんていっぱいいるよ」

「1人ぐらい譲ってくれてもいいじゃん?(笑)」

そう言いながら笑い合う。
美波といる時間は大好き。
嫌なことが一瞬でも忘れられて、心から笑えるから。
美波は、私の家のことも理解してくれてる。
中学の授業なんてあっという間。寝てたらすぐに6限終わって部活だよ。

「璃々愛〜部活行こ!」

ひかりはいつも私のことを誘ってくれる。

「いいよ。行こ!今日は掛かり稽古あるかなあ?」

「先生毎日、会議で来なければいいのにねっ(笑)」

「ひかりはいいじゃん。上手いんだから」

と、言おうとしたけどやめた。
だって仲悪くなるのめんどうだもん。
あたしはいつも、レギュラーから外される。
1人だけ補欠になる身にもなれよっていつも言いたくなるけど、心に抑えてみんなには、頑張ってね!って笑顔で言うの。
結構疲れるし、メンタルにくるんだよ。
私がみんなより練習してるのは周りから目に見えてるはずだし、他のライバル校だってビデオとって観察して研究してる。
部内戦で、みんなと戦う時だって、ひかり以外には勝てる。
なのに、レギュラー入れないんだよ?
酷いと思わない?
私ってなんのために練習してるの?
なんのために剣道してるの?
こんなに頑張る必要あるの?

いつもこんなこと思ってる自分って、弱いなって思うけど、努力は報われるなんて絶対信じない。
なんであたしがレギュラーに選ばれないのかは聞かない。
だって、知ってるから。
あたしが努力しても無駄なこと。
自分がよくわかってるよ

お母さんは少し帰るのが遅れたら学校にすぐ電話する。
部延長だって、うちの子は帰してと言う。
夜遅くまでやるの危ないからって。
時には武道館まで来て、顧問の先生に今すぐ練習やめさせて帰らせてやってとも言った。
顧問の先生はそれからというものの、私をレギュラーにださなくなった。
まあ、理由はこれだけじゃないよ。
もう1つあるよ。
それはね、私以外の部員の親は剣道の先生だから。
顧問の先生は、うちの子をだしてと言われたら従うしかないんだよ。下っ端だからね。

だから、あたしは努力しても無駄なの知ってる。
でも、いつか出られるって心のどこかで信じてたんだよ。

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